CT検査の実際の症例
CT
当院では正確な診断、治療のためにCT機器による画像検査を役立てています。
実際の症例
症例1:鼻腔内腫瘍
14歳 ミニチュアダックスフント
くしゃみと鼻出血を主訴に来院されました。この症例では鼻腔内を占める腫瘍病変が確認できます(黄色丸)。腫瘍によって頭蓋骨の一部が溶けており(赤矢印)、脳にも到達していることがわかります(青矢印)。CTデータから3Dの立体画像も作成でき、緑色の部分が腫瘍、赤い部分が脳を表しています。
後日外科手術によって鼻腔内の腫瘍をできる限り除去しました。
症例2:脳腫瘍
16歳 シェルティー
痙攣発作を主訴に来院されました。痙攣を抑える薬によって動かなくなった状態で、無麻酔でCT検査を実施しました。造影剤を投与することにより、脳に腫瘍が見つかりました(黄色丸)。
症例3:水頭症
脳の中には脳室と呼ばれる部屋がいくつか存在します。この脳室の中には脳脊髄液という液体が満たされています。水頭症とは脳脊髄液が過剰に貯留することにより、脳室が拡張してしまった状態をさします。
3ヶ月 チワワ
痙攣発作を主訴に来院されました。CT検査を無麻酔で実施しました。頭蓋骨内の黒い部分が脳脊髄液です。重度の脳室の拡張が認められました。
正常な脳
症例4:悪性腫瘍の肺転移
肺は様々な腫瘍が転移しやすい臓器の一つです。レントゲン検査では小さな転移病巣は発見できませんが、CT検査では微細な転移病巣も確認することができます。肺転移があるか否かは、その後の治療方針を決める上で重要な所見となります。
10歳 雑種猫
乳腺腫瘍の切除を希望され、手術前検査で胸部のレントゲン検査を実施しました。レントゲンを撮影した段階では明らかな転移は確認されませんでしたが、CT検査にて多数の肺転移が認められました(黄色丸)。
症例5:肝臓腫瘍
11歳 ボーダーコリー
健康診断の血液検査で肝数値の上昇が認められ、腹部超音波検査にて肝臓に巨大な腫瘍が見つかりました。
事前にCT検査を実施することにより、手術が適応か否かをより明確に判断でき、周囲の臓器や血管との位置関係もより鮮明になるため、手術時の手助けとなります。
3Dの立体画像では、手術時には見えづらい腫瘍の裏側の血管まであらかじめ確認することができます。
症例6:副腎腫瘍
9歳 トイプードル
嘔吐と食欲不振を主訴に来院されました。血液検査、腹部超音波検査にて左の副腎腫瘍が見つかりました(黄色丸)。手術計画を立てるため、事前にCT検査を実施しました。
立体画像により腫瘍と細かい血管の立体的な位置関係がわかります。
後日外科手術にて左副腎の摘出に成功し、体調も回復しました。
症例7:尿管結石
4歳 雑種猫
食欲不振を主訴に来院されました。血液検査にて腎数値の上昇が認められ、超音波検査にて左右の腎臓の腎盂や尿管の拡張が認められました。尿管結石が疑われましたがレントゲン検査では結石が分からず、後日CTを撮影しバイパス手術(SUBシステム)を実施しました。
症例8:骨盤骨折
交通事故などの衝撃で、骨が複雑に骨折してしまう場合があります。CT検査では立体的に画像を構築することができるため、レントゲン検査より正確に損傷部の状態を把握することができます。複雑な骨折の手術前には、手術計画を立てるためにCT検査を実施しています。
年齢不明 雑種猫
事故にあったと思われる猫を保護したと来院されました。レントゲン検査にて骨盤の骨折、仙腸関節の脱臼、骨盤腔の狭窄が確認されました。
後日手術により骨盤の整復を実施しました。